鹿角のいいこと

恋する鹿角新聞 人気コラム「寿賀婆に聞け!」①

恋する鹿角新聞 人気コラム「寿賀婆に聞け!」①

恋する鹿角新聞で連載中の人気コラム「寿賀婆に聞け!」。取材陣がスナック寿賀を訪れ、御年80歳を過ぎた寿賀婆(本名:浅石シガさん)に話を伺っています。
※寿賀婆についてはこちらもご覧ください。

 

今回のお題「なぜ寿賀婆は、料理上手なのか?」

snack

 

「一番いいどき鹿角さ来た!」と出迎えるのが寿賀流のおもてなしだ。初めて訪れたときもそうだった。その日その日、旬の地の物を持って、訪れた人に期待と喜びを与える。そんな〈鹿角の豊かさ〉を感じる第一声だ。

スナック寿賀には、まさにスナックらしいカウンターと、スナックらしからぬ小上がりの座敷がある。この日はその小上がりに、豪華絢爛のオブジェさながらに、大量の野菜が飾られている。これはスルーできん。

「寿賀婆、これ何?」

それはそれは待ってました!とばかりに、寿賀婆が言う。

「今朝畑で採れたサントナだ」

…さんとな?

「なんて書くの、サントナて?」

「わがらね」

 

いくつか漢字を挙げてみたがおそらく、本人に全く興味がないのあろう。客の質問にもかかわらず、生返事もいいところだ。後で調べたところ〈山東菜〉という白菜の仲間らしい。水菜のような食感で、少しだけ苦味のようなクセがある。

「今日はコレのしゃぶしゃぶ」

と嬉しそうに準備をしている。

 

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この山東菜は、寿賀婆が自分の畑で育てたもの。この日の早朝に収穫し、根元の部分に入り込んでいる土を2時間かけて洗い落とした。寿賀婆は、どれだけ大変な作業だったかを来る客来る客に毎回説明する。だが、それを聞いてから食べるから、不思議と有り難みは倍増する。多分、何も言われなくても美味しいのだが、心持ちが変わる。

「せっかく食べに来てくれたんだもの、ここで私がやれることはやってやらねぇと。特別なことは何もしてない。料理は手間と愛情をかけてなんぼ!」と胸を張っている。

寿賀婆の料理が美味しいのは、愛情あふれるこの手間のかけ方とその説明によるものなのかもしれない。

 

santona

 

寿賀婆は、ふとしたときに決め台詞を繰り出す。そのタイミングは毎回絶妙。というか、毎回不意打ちをくらう。

今回はコレだ。

「嘘はバレるし、メッキは剥げる」

 

ちなみに、しゃぶしゃぶの出汁に〈ホンモノの味噌〉を使っているという説明のときに出てきた。なんでだろう、違う気がするのに納得させられる。これぞ、スナック寿賀の夜。