鹿角のいいこと

鹿角でシカ、会えない人⇒ 淡雪こまち生産者 成田誠さん

鹿角でシカ、会えない人⇒ 淡雪こまち生産者 成田誠さん

淡雪こまち生産者 成田誠さん
淡雪こまちの直播栽培におけるパイオニア。栽培だけでなく、商品のブランド化のためのPR 活動にも積極的に取り組んでいる。

 

春先の雪のように、ふっくらと柔らかい。
「淡雪こまち」は鹿角が育てた自慢のお米です。

成田さん02

 

きりたんぽといえば“お米”。ふっくらモチモチと柔らかく、玄米で食べてもおいしいと話題のお米が鹿角にある。その名は「淡雪こまち」。
「米粒の色が半透明で淡雪のように見えることと、秋田を連想する“こまち”を合わせて名付けられました」。そう教えてくれたのは鹿角市十和田で米農家を営む成田誠さん。平成15年から淡雪こまちの生産に取り組んでいる。

 

淡雪こまちは鹿角の大自然の中で育った秋田県初の低アミロース米で、平成19年に県の認定品種に採用された。低アミロース米とは、米粒のでんぷん中に含まれるアミロースの割合が3~17%程度のお米のこと。もち米は0%で、淡雪こまちは『うるち米(一般のお米)』と『もち米』の中間の性質のため、柔らかく甘みのあるご飯が炊き上がる。

「おいしい低アミロース米をつくるには一年を通して冷涼な気候が必要です。山々に囲まれ、朝晩の寒暖差が大きい鹿角の気候は淡雪こまちの生育にぴったり。まさに“鹿角のために作られたお米”ですね。栽培方法も他のお米とはちょっと違う。水田に苗を植える移植栽培ではなく、水田に直接種をまく『直播(ちょくは)栽培』で出穂時期をコントロールしています。そうすることで品種の特性を最大限に引き出しているんですよ」。

 

もっと地元の人に食べてもらい
鹿角に根付いていって欲しい。

田んぼ

成田さんの田んぼは黄金色の稲穂が輝き、ちょうど刈り取り時期。しかし一部分だけ青い穂が目立つのはなぜだろう。

「今年の5月末、今までに経験したことのない程の大きなヒョウが降りました。稲穂が青くなっているのは、ヒョウが落ちて生育が遅れている証拠。でも不幸中の幸いで、こうして遅れてでも育っている。種を埋められても新しく芽が育つんだから、稲って強いよね」。

 

「今では、遠方からわざわざお店に来てくれるファンもいて、ありがたい限りです。お米はどれも同じだから安いほうがいい、お米の味そのものに興味がないと思っている人は多いと思います。でも、お米はどれも同じじゃない。『鹿角の萌えみのり』は、すごく特徴的で違いのわかりやすいお米。食べてみることで『お米って違うんだ』ってことに気づいてもらえたら、少しずつでも秋田のお米のおいしさや、その興味を引き出すきっかけになるんじゃないかと思っています。思わぬことがきっかけで『鹿角の萌えみのり』は広まったけど、これからもお米に興味のなかった人を巻き込んでいく展開を、ここ鹿角から仕掛けたいですね」。

 

淡雪こまちご飯

淡雪こまちのご飯は冷めても硬くなりにくいため、お弁当やおにぎりにもオススメだ。白米での炊き方のポイントは、水を通常よりも5%減らすこと。きりたんぽにするなら水を10%減らすとちょうど良いと、成田さんは話す。 「デビューして約10年、淡雪こまちは鹿角のブランド米として認知されてきましたが、まだまだPRが足りません。元来鹿角のために作られた品種なので、もっと地元の人にも食べてもらいたい。細く長くでいいから、これからも鹿角に根付いていってもらえたら。そんな気持ちで育てています」。

 

収穫の秋。ふっくらモチモチのおいしさを、ぜひ味わってみて欲しい。